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持つべきものは優しき弟
入っている我が家ですが、思えば大学時代はもっと貧乏でした。
元々計画性のない性格の上に、親元を離れての一人暮しの解放感も
手伝って、毎月いつのまにか仕送りが底をついている状態。
一方、計画性の塊のような2つ違いの弟は、仕送りだけでもきっち
り黒字を出しており、バイト代はすべて貯金という、信じられない
生活をしていました。
あるとき、私が友人の車を運転していて、壁にガツンとぶつけてし
まったことがありました。
ドアが少しへこんだだけでしたが、修理
代は5万円。友人はいいよと言ってくれましたが、そうはいきませ
ん。かと言って、私にそんな貯金があるわけもなく、考えあぐねて
泣きついたのが弟でした。親に言うと、事故ったというだけで(実
際は軽くぶつけただけでも)心配をかけそうな気がして、言えませ
んでした。
金持ちで優しい弟は、すぐに快諾して、余計にかかるかもしれない
からと10万円も送ってくれました。我が弟ながら、菩薩様に見えた
瞬間でした。あげるから返さなくていい、という弟に、借金は借金
だから就職したら返す、と、私から強引に借用書を書いて渡しまし
た。
それから20年、帰省した折にふとその話が出て、あのときは弟に世
話になったのよ、と、親に暴露していると、弟が一言、「まだ返し
てもらってないけどね。」
驚いたのは言うまでもありません。私はすっかり返した気でいたの
ですから。返した、返してないと言い合っていると、弟は確か実家
に借用書が置いてあるはず、と言って、本当に探し出してきました。
ガーン。私はちゃんと返済して借用書も返してもらったとばかり思っ
ていたのに、この20年妄想を抱いていたとは!自分のいい加減さに
ショックを受けました。
結局、最初からあげたつもりだったから返さなくていい、という弟
の言葉に甘えて、返さずじまいです。あぁ、いつの世も持つべきも
のは、仏のような弟ですね。頼りない姉でごめんなさい。